起業家インタビューvol.1 学生団体「NiCHiBle」代表/辻優力(つじゆりき) ①

龍谷大学の昼休み。龍大生たちは昼ご飯を求めてテントに長い行列を作っている。
列のその先にあったのは現役大学生の辻優力さんの運営する「きょうパン」だ。
この記事では辻さんがなぜ大学生にもかかわらずパン屋を大学で出店するようになったのか。
そのいきさつについて今回はインタビューをしてきた。

学生団体「NiCHiBle」代表/辻優力(つじゆりき)

龍谷大学経営学部3回生。現在は「NiCHiBle(ニチブル)」という学生団体の代表を務める。
そのきっかけとなった団体「きょうは、パンにしようか(通称:きょうパン)」の2代目代表も務める。

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ー何か事業を起こそうと思ったきっかけを教えてください

 僕たち3回生が入学した2020年はコロナ禍真っ只中で入学式もなかった年です。学校が始まったかと思えば、授業は全てオンラインでそもそもキャンパスに足を運ぶ機会がなく、授業があったとしても学校に来て授業を受けて帰るだけ。その繰り返しで学生は大学の近くや大学の裏路地などに飲食店がいっぱいある状況に気付けていませんでした。
 学生側だけではなく飲食店側の状況を調べるため、大学近くの飲食店に足を運んでヒアリング調査を行いました。
 その結果、学生街にあるのに学生に認知されていないとか、コロナ禍で経営がひっ迫しているとか、学生街に出店して学生に安く美味しくお腹いっぱいになってほしいという思いでお店を立ち上げたのに、そもそも学生が来てくれなくて困ってる、、、などを聞きました。
 それに対して、何か僕達でできないかなということで、1度メンバーを募ったのがきっかけです。
そこで僕達が注目して選んだのがパン屋さんでした。

ーなぜ”パン屋さん”にしたのですか

 パン屋さんの数が日本で一番多かったり、小麦の消費量が一番多かったりするのが京都なんですね。パンが京都に歴史的に根付いているっていうのもありました。そのパン屋さんを、その地域と大学生をつなぐ架け橋、地域活性化を掲げて地域と学生の為になるより良い社会を紡いでいきたいという思いです。
 また、パン屋さんを僕達が支援することは、間接的に“京都”っていう町の価値を僕達が上げていくことに繋がるんじゃないかって思って。そういった色んな思いから「パン屋さん」と「大学」と「町」を繋ぐプロジェクトが何かできないかなと思って、「きょうは、パンにしようか」という団体を立ち上げました。

ー 実際の活動はどのようなものでしたか

 まず大学付近のほか、京都市内何店舗かのパン屋さんと提携しました。実際にそのパン屋さんに置かれているパンを毎週大学内で学生に販売するという、パンの代行販売みたいなことをしていました。多いときで5店舗のパンを販売していました。

ー苦労したことは何でしたか

 企業でもなければ実績も何もないので、パン屋さんに行って僕たちが「コラボしたいです」と言っても、断られる方が多かったことですね。協力してくれるパン屋さんは5、6店舗訪問して、1店舗ほどだったのでらそういった面では苦労しました。
 合計でいうと、恐らく大学近くも含めて100店舗以上の京都市のパン屋さんを訪ねました。

ー協力してくれた店舗さんへの影響はどのようなものでしたか

 パン屋の店主さんから、「”きょうパン”でこのお店のことを知りました!」という学生が結構来ていると聞くと、僕らもやって良かったなと思います。
 他にも食フェスとかイベントとかにも積極的に出店していたんですけど、一番印象に残っているのが大阪の天王寺動物園の前の広場で、「関西食フェス」という大規模なイベントに参加したときのことですね。その時に一度チーズベーグルを購入されたお客様が、1時間後ぐらいにまた戻ってこられたんですよ。「さっき食べたチーズベーグルがちょっと美味しすぎたんで、もう一回買いに来ました」って。どこのパン屋さんですか?と言われて、その方にショップカードを渡し、お店の場所を説明しました。後日パン屋さんの方から僕に「食フェスのとき、きょうパンさんが販売されてたチーズベーグルを食べておいしかったので、店舗まで足を運んでくれたお客様がいましたよ」と聞いた時は本当に嬉しかったのを覚えています。
 大阪からわざわざ僕たちが紹介したパン屋さんのチーズベーグルを買いに足を運んでくれた方がいた、ということがあり、目に見えるじゃないですけど、そういうお話を聞くと活動して良かったなって思います。

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