日経ビジネスで「ユニコーン不足の日本、なくせるか「起業家に不利な金融契約」」の記事が出ましたね

つい最近、連載:起業家を知る[3]「所有と経営の分離」なのになぜ起業家は失敗すると多くの借金を負うのか?という記事を書かせてもらったのですが、これに関連する記事が、日経ビジネスで出てました!大学生&高校生の皆さんにはぜひ読んでほしい!

日経ビジネス「ユニコーン不足の日本、なくせるか「起業家に不利な金融契約」

大学生や高校生がさっと通読するには少し難しいのだけれど、うちの記事を読んでもらってからこちらを読むと少しはわかりやすくなるかもしれません。

個人的には日本でユニコーンが少ない理由は、単純に「起業直後の外部からの資金が豊富ではない」からだけではなく、日本語からサービスを開始するのがほとんどであることと、日本語圏であるがゆえに英語圏の巨大マーケットのサービスを日常的に見ていないために、急成長するビジネスについての感度がちょっと低めというのもあるんだろうと思ってはいます。

Slackとか2009年設立で初版リリースは2013の8月なので開発期間は4年かな?2016年ごろからインドの地方都市でITベンチャーの調査をしていたのですが、もうみんなslack使ってましたから。
サービス開始してから別の国で大規模に使われるまでほんと2-3年なんですよね。このスピード感とスケール感は日本にいてのほほんとしているとなかなか想像できません。そしてメガベンチャーにサクッと買収されるわけですね。277億ドル(3兆6千億・・・)って噂ですが・・

本文でとっても大事なところはここ

 例えば、ミドリムシからバイオ燃料や健康食品を作っているユーグレナ。出雲充社長に創業時の話を聞くと「オフィスに置くコピー機のリースでさえ、私の個人保証だった」と振り返る。ただ、こうしたリース債務や借入金のような明らかな負債だけが責任の対象となるのではない。出雲氏は「エクイティファイナンス(株式発行による資金調達)も、日本のスタートアップ資金調達だと真のエクイティとは言えない」と苦言を呈する。

業績が悪くなったりVCにとって不都合が生じたりした場合、スタートアップ側が株式を買い戻すように求められるからだ。創業から間もない会社は、最悪の場合に売却して現金化できる設備が少なく、累積赤字が拡大している場合もある。実質的に起業家の個人保証となっており、第三者割当増資や株主割当増資であっても、エクイティのはずがデットファイナンス(借り入れ)に近い性格といえる。

 公正取引委員会と経産省はこれを問題視している。経営状態が良好でも、出資者が「起業家への買い取り請求権」をちらつかせて搾取することもあるという。例えばある企業は出資者と定めた計画どおりに事業を進めていたが、知的財産権を出資者に無償譲渡するよう求められた。これに応じなければ、出資者から企業側が株式を買い戻すよう迫られる状況だったため、やむなく知財を譲渡した。ここまでくると独占禁止法上の「優越的地位の濫用(らんよう)」に当たるおそれがあるというが、他にも不透明な理由で買い取り請求権が行使される例は散見されるという。

—————-中略——————–

 スタートアップでは起業家が過半の株式を保有した状態で、取締役会で大きな影響を及ぼすことも多い。ただ、起業家とその会社を一体とみなして連帯責任を求める出資契約の条項については、「グローバルな観点からはあまり例が無い」(公取委と経産省の指針)。過度に責任を求めると起業を増やせないため、VCなどによる買い取り請求権の対象は会社そのものに限定し、経営者個人には設定しないよう求めている。

日経ビジネス「ユニコーン不足の日本、なくせるか「起業家に不利な金融契約」

大企業の内部留保がたまりまくっていて、それがコーポレートベンチャーキャピタル(大企業の資金による新興企業への投資)に向かっているというのは事実。ソフトバンクグループ&ビジョンファンドの成長はまさにそれです。
でも百戦錬磨のスーパーシード投資家でも腹を割った過去の経験をお聞きすると、ほんとに1勝9敗っていってもいいくらい、ビジネスと起業家を評価することは難しいわけです。だから会社のお金を使って投資を決定する投資担当サラリーマンのプレッシャーは大変だろうなとおもいますし、その決定にOKをだす会社の会議も大変だと思います。

DeNA創業者の南場さんが経団連の副会長になってこういう発信ができるようになったというのは本当に大きいのかなとおもいます。

ちなみにDeNAのケースも授業では扱ってますので興味のある方はぜひ履修してください(笑)

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