龍谷大学 経営学部 秋庭ゼミ演習募集2022について(2)

イノベーションはアイディアだけでは実現できない

新しいアイディアは常に至るところにあります。しかし、それを実現まで持っていくのが難しいのです。最初は知識もない、資源もない。仲間もいないかもしれません。もちろん、傍観している第三者は無責任に「無理じゃない?」と言ってきます。

新しいアイディアを小さくでも実現するためには沢山の人と相談しながら、他者を巻き込み、アイディアを煮詰めながら実現へのステップを一つ一つクリアしていくことです。多くの場合、それは何回もの「意思決定」と「行動」と「失敗」と「再チャレンジ」を含んでいます。

誰もやり方を教えてくれないことを実現する(しようとして失敗する)経験は通常の学生生活ではなかなか経験できません。「やり方がわからないからやらなかった」と普通に口にする学生集団のなかにあって、「できるかどうかわからない目標を描き、それにチャレンジする」というマインドセットを持ち続けることはおそらく容易なことではないだろうと思います。

「教えてもらわないとできるようにならない」のでは一人になったら進歩が止まります。それって実は結構怖いことなんですよね。

日本の学生が収入の必要にかられて起業する必要性は小さい

若年失業率が低く新卒就職で安定した収入が得られやすい日本の学生が、収入の必要にかられて起業する必然性は、他の国に比べると小さいと思います。起業のようなわざわざ不確実性の高いことを志向するのは、絶滅危惧種の野獣のようなものかもしれません。男性は家庭の大黒柱として家族を養うのが社会的な努めだという価値観もまだ残っていれば、安定収入を目指すのはごく自然なことです。

スキルアップと転職が前提となっていなければ、学生は新卒就職に求められがちな「一般的大企業が求める人材像の最大公約数」的な振る舞いに最適化します。それは「コミュニケーション力が高く、常に周りに気を配って、自発的に上司の期待に答える目標を自ら設定し、職場の仲間のリーダーとなって頑張る」といった振る舞いです。それに合わせてガクチカも作り上げるでしょう。それに志望先別に企業風土に合うパーソナリティを演出して出来上がりです。かくして組織は同じタイプの人材で占められていきます。

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